日本ガラス工芸学会 2015年度大会
招待講演概要
・日時
10月24日(土)15:40~17:10 招待講演 サリー・ヘイデン(通訳付き)
(於 中央棟第1講義室)
・概要
英国から日本へ―明治初期品川硝子での
洋式ガラス製造技術移転と4人の英国人技師
講演:サリー・ヘイデン 通訳:吉岡律夫
日本のガラス製造は、何世紀にもわたって諸外国の技術や製品の影響を徐々に受けながら発展してきました。しかし、近代化にともなって西洋式の技術や製品を意図的に導入した明治初期ほど、この国のガラス製造に急激な変化がみられた時代はないといっていいでしょう。それまでは限られた地域で制作された工芸品としての性格が強く、高価で、使用できた階層も限られていた日本のガラスでしたが、明治初年のこのわずか数年の間に、日用品を西洋式の技術で量産する産業へと一挙に転換したのです。
これまでの研究のおかげで、この大きな変化のきっかけとなった品川硝子については詳細がかなり明らかになっています。その所在や、いつどのようにして洋式技術が取り入れられたのかはすでに解明されています。しかし、その技術を直接もたらした英国人技師たちについての情報は十分とはいえないのではないでしょうか。
私はこの講演で、日本人伝習生に品川の硝子工場で技術を教え、窯の前でともに汗を流した4人の英国人が実際はどのような人たちだったのか、その実像に迫りたいと考えています。なぜなら彼らはパイオニアであり、その事績を知り敬意をもつに値すると思うからです。歴史は知れば知るほど謎がでてくるものですが、この講演では彼ら4人が日本にやってきた動機やその経歴、彼らの持っていた技術、さらに英国への帰国後に待っていた人生について探っていきたいと思います。
講師プロフィール:サリー・ヘイデン(Sally Haden)
ヘイデン氏は品川硝子に教師として招聘された英国人技師の一人、ジェームズ・スピード(James Speed)の曾孫にあたる。英国ウエスト・ミッドランド生まれ。1960年代にザンビアで秘書として勤務し、南アフリカのローズ大学で歴史を学ぶ。1975年に英国のハル大学で社会学と文化人類学の優等学位を取得し、その後社会人教育に携わった。結婚後2人の息子に恵まれたが、先祖が日本でガラス製造技術を教えたことを知り、それをきっかけにヴィクトリア朝の英国のガラス産業の研究を開始、当時の両国のガラス産業についての論文発表や講演を英国で行っている。
終了後の記念写真
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